データアナリスト業務の全体像

悩むトリケラトプス

データアナリストって実際何してるの?


そう思っている方も多いのではないだろうか。


私はデータアナリストとして、日々分析レポートを作成している。

今回の記事では、私が普段データアナリストとしてどのような作業をしているのかを、10個のプロセスに分けて説明していく超大作になる。

分析レポートを1本作る間にも色々な作業をやっているので、記事としては長編になってしまったが、データアナリスト業務の全体像について、少しでもイメージを深めてもらえたら嬉しい。


データ分析の全体像


ここでいう全体像というのは、

アドホック分析の1本の分析レポートを書くプロセス

のことを指している。

アドホック分析
ある特定の状況に対して臨時的に短時間でやるデータ分析のこと。対照的な分析として、定常的に分析結果を表示するダッシュボードや、同じ内容の分析を定期的に行う定型分析がある。



今回は各工程の作業が具体的にイメージできるよう、データ分析のプロセスを大きく10個に分けた。

それでは、順に説明をしていく。


①分析テーマを決める

このプロセスのゴール:顧客の知りたいことを明確に理解できている


まず最初に分析テーマを決定する。


このプロセスのゴールは、顧客(社内の場合もあるが顧客と表記する)の知りたい事を明確に理解できていることである。

分析テーマは、顧客が調べて欲しいことをデータアナリストに投げてくるパターンもあれば、定常分析を担っている場合はデータアナリスト側から「こんな分析をしてみるのはいかがでしょうか」と提案する場合もある。これは顧客とデータアナリストの関係性や、担当領域によって各々違ってくると思う。


また、この段階で最も重要なのは、顧客との認識合わせである。

顧客が知りたいことと違う分析結果を持っていった場合、顧客は満足せず、施策にも反映されず終わってしまうことになる。無駄に終わる分析の多くは、最初の段階で既に無駄になることが決定している。


それを防ぐためには、概ね以下のようなことをこの段階でハッキリさせておく必要がある。

  • どのようなことを知りたいのか
  • そのことについて何か仮説を持っているか
  • それを知ってどうしたいのか
  • それを知るためにどのようなデータがあればいいと思うか



二つ目について、顧客から仮説を引き出しておくのはとても有益である。

多くのデータアナリストは分析を依頼してくる顧客より、その業界や業務についてのドメイン知識が少ないことが多い。なので、データアナリストが思いつかないような仮説を顧客が持っている場合は多いため、ここで必ず確認するようにしている。



四つ目に関しては、次の分析設計のフェーズとも被ってくるが、顧客にもどういう分析結果があれば意思決定の助けになりそうかを予め聞いてみるといいと思っている。

結局のところ、分析結果が意思決定に繋がることがゴールなので、意思決定する側が「こんな結果だったらこう意思決定しよう」と漠然とでも考えていると、その結果が出た時に意思決定に繋がりやすくなる。いわば、顧客にもデータ分析の当事者になってもらうとも言えるかもしれない。



②分析設計を作る

このプロセスのゴール:どのような作業をして、どのような結果が出て、最終的にどのような報告をするかのイメージが出来ている


分析テーマが決まったら、分析設計を作成していく。


この分析設計までが最も大事なプロセスであり、①②で分析全体の価値が8割決まると思っている。


分析設計では、以下のようなことを決めていく。

  • イシュー
  • サブイシュー
  • 各イシューへの答えの仮説
  • 仮説の検証方法
  • グラフイメージ
  • 集計条件の詳細


このあたりの詳細に関しては、いずれ記事にしたいと思っているが、取り急ぎ再三紹介している「イシューからはじめよ」を読んでいただければ、概ね理解できることと思う。


とにかく、この段階でどのような報告をするかが決定していて、あとは集計するだけという状態になっていることが理想である。


③データ集計

このプロセスのゴール:分析設計でイメージしたグラフを作成する


ここから実際にSQLやPython等のプログラミングを使ったり、場合によってはExcelで集計を行っていく。

②の分析設計ができていれば、ひたすら早く正確に集計を行うことだけを考えればいい。



④集計結果の確認・考察

このプロセスのゴール:集計結果を分析設計と照らし合わせ、仮説が合っているかを確認する


前プロセスで作成したグラフを眺めて、分析設計の際に考えていた仮説通りの結果が得られているかを確認する。



ここで気を付けなければいけないのは、「自分の仮説が正しい」と正当化してしまい、解釈をゆがめてしまうことである。

誰しも、自分の仮説が否定されるのは嫌だし、これまでの作業が振り出しに戻ることもあるので、多少無理やりにでも仮説が正しいという解釈をしてしまいがちである。


このようなバイアスが存在することを認識しておくだけでもかなり防止にはなるが、できれば以下のこともセットで対策するとよい。

  • 分析設計の段階で「この数値ならこう解釈する」というレベルでイメージしておく
  • 第三者に結果と考察について意見を聞く


上記のことを丁寧に実施すれば、都合のいい解釈をしてしまうリスクはかなり減らせる。意識ではなく仕組みで解決するのがコツだ。



⑤3と4を繰り返す

このプロセスのゴール:イシューに答えを出す全ての材料が揃っている


3と4の作業を分析設計で作成した全ての集計に対して実施していく。

ここに関しては、特段書くことはなく、引き続き「とにかく早く正確に」がポイントである。


⑥必要に応じて分析設計を見直す

このプロセスのゴール:分析設計にない集計をしていない状態


このプロセスに関しては、省略する人が多すぎるため、あえて必要性を強調するために入れている。


「必要に応じて」というのは、当初の仮説が否定されて、それ以降の分析を変更する必要があるような場合である。

多くの人は、このような状況に置かれた時に分析設計を直すことはせず、すぐに別の集計をしてしまうと思う。それは、仮説が外れたという焦りや、今さら分析設計をする必要はないという驕りによるものだと私は考えている。

しかし、それをしてしまうと手あたり次第に必要と思われる分析に手を出していき、結論何も言えることがないという最悪の状態になりかねない。これは避けたい。



したがって、分析設計を修正する時間が勿体ないという気持ちを抑えて、分析設計を立て直すべきである。このプロセスのゴールにも記載した通り「分析設計にない集計をしていない状態」常にキープすることが、最終的な生産性に繋がる。



⑦レポートの流れを考える

このプロセスのゴール:分析レポートで主張することがロジックツリーで整理されている


全ての集計が出そろったら、いよいよ分析レポートの作成に着手していく。


ここでよくあるダメな例が、「いきなりPowerPointに書きはじめてしまう」ことである。

PowerPointから始めてしまうと、個別のスライドに注意がいきがちになり、分析レポート全体の流れを考えにくくなってしまう。


したがって、まずは箇条書きや、手書きのイラストでもいいので、分析レポートで主張したいメッセージをストーリーで構成する時間を取る。

PowerPointを触る前の30分でもいいので、この時間を取ってみて欲しい。おそらく、まとまりのある分析レポートが書けるようになることに気付くはずだ。


⑧レポ―トの骨組みを作成する

このプロセスのゴール:メッセージと雑なボディで構成された分析レポートが完成する


いよいよPowerPointでレポートを作成していくわけだが、まずは前プロセスで作成したストーリーに沿って、各スライドで主張するメッセージを書き込んでいく。


ちなみに、メッセージとボディという言葉は以下を参照。

そのメッセージを主張するのに必要となるファクトをボディに書いていくのだが、この段階では一旦全スライドのメッセージを一通り作成することが優先なので、雑なグラフや表で構わない。


⑨分析レポートを整える

このプロセスのゴール:分析レポートが完成する


レポートの骨組みが完成したら、各スライドを完成形に持っていく。


ここまでで既にメッセージと、雑なボディは完成しているため、ここでは主にデザインを向上させ、読み手が理解しやすいスライドに仕上げていく。

このあたりのテクニックについては、以下の本がとても参考になる。是非参考にしてほしい


⑩報告をする

このプロセスのゴール:分析レポートを報告し、顧客を動かす


いよいよ最終段階の報告フェーズである。


分析は顧客を動かすことが目的であるということを再度思い出し、ただの「自由研究レポート」にならないようにセリフを磨き込む。

具体的には、「こういうことが分かりました。」ではなく、「こういうことが分かったので、こういう意思決定をするのが妥当です。」というところまで踏み込んで話す。

勿論、分析結果以上のことを誇大に伝えるのはNGだが、結果から論理的に考えられることは積極的に提案していくべきだと私は思っている。




まとめ


以上、10個のプロセスに分けて、データアナリスト業務の一連を説明してきた。(各プロセスの注意点などに熱が入って長編になってしまいました。スイマセン)

  1. 分析テーマを決める
  2. 分析設計を作る
  3. データ集計
  4. 集計結果の確認・考察
  5. 3と4を繰り返す
  6. 必要に応じて分析設計を見直す
  7. レポートの流れを考える
  8. レポ―トの骨組みを作成する
  9. 分析レポートを整える
  10. 報告をする


この記事がデータアナリストに興味がある人の参考に少しでもなればうれしい。


ではこのへんで。